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暮らしのレポート

土間の薪ストーブと吹き抜けが全体をつなぐ家

土間の薪ストーブと吹き抜けが全体をつなぐ家

30代を目前にして「そろそろかな」と家づくりに目を向け始めたOさんご夫婦。
住宅雑誌を見ていて気になったハウスメーカーや工務店のオープンハウスやモデルハウスを見に行くようになり、
その中で「家の雰囲気や木をつかったデザインがいちばん好みだと感じたのが三五工務店だったそうです。

モデルハウス見学後、土地探しから三五工務店に相談。
「緑を感じられるところが良い」というご夫婦のご希望に合わせて、
市内でも自然が多い南区の土地をご提案し、ご実家にも近い絶好の場所が見つかりました。

家の中を真南に向けるという発想

三五工務店の施工実例を見ながらイメージを膨らませていたご夫婦が
「絶対にほしい」と希望されたのは、吹き抜けと薪ストーブ。
さらに「土間とつながる開放的なリビングも、必ず実現したい要素として、設計スタッフの寺西さんに相談しました」

設計スタッフは土間と吹き抜けを「複合的な役割を持ったスペース」として位置付け、
効率的に活用できるプランを練り始めました。
まずは立地と採光。
土地を効率良く活用するためには、敷地の形状に合わせて家を建てるのがいちばんですが、
それだと、敷地が真南を向いていない場合、採光の面で少し不利になります。

Oさんのお家の場合、敷地に合わせて家を建てると、家の角が真南になってしまいますが、
そちら側に土間と吹き抜けを配置して、その2階部分に大きな窓を集中させることで解決。
真南から取り込んだ光や熱が吹き抜けを通して家中へ回り、
土地の向きと関係なく「いつも明るくて住みやすい」とご夫婦が感じる家を実現できました。
使い勝手のことも考えて、薪ストーブも土間に設置。
この位置であれば、吹き抜けを通して家全体へ熱が回り、効率的です。
家の造り自体、高気密・高断熱なので、玄関から土間・リビングがつながる開放的な間取りでも暖かさを保てます。

開放感と収納力を最大に

土間・リビング・吹き抜けが一体となった、縦横に広がる開放感が、Oさん邸の最大の魅力です。
玄関のドアを開けると土間がまっすぐに伸び、左側にはリビング、上には吹き抜け。
「広さを感じるように、目線を遮るものを極力なくしました」と設計スタッフが語るとおり、
建物のサイズ感から想像する以上の空間が広がります。
例えば、目線を遮らないように、玄関の正面にあたる階段上部や収納部分にもできる限り板を貼らないようにしています。
この玄関正面のスペースも、設計スタッフが持たせた「複合的な役割」のひとつ。
造作したシューズクロークやコート掛けに加えて、階段下のデッドスペースも収納として活用できるようにしています。
「想像以上に奥に深い」つくりになっているので、ご夫婦の趣味であるスキーやスノーボード、
アウトドアなどの大きなアイテムでも十分に収納できます。

1日を通して様々な光を楽しめる窓

2階のフリースペースは、将来ドアをつければ部屋にできるように一部だけ壁を設けた状態に。
「いつかベッドやテーブルを置いたときのことを考えて窓の高さを設定しました」と設計スタッフが語るとおり、
将来のライフスタイルの変化にも適応できるデザインにしています。
現在はご夫婦のご両親が泊まりに来た際に、簡易的に取り付けたカーテンで部屋のように閉じて使ったりしているそうです。

このスペースに限らず、窓についてはもちろん眺望も意識しています。
住宅街の中にありながら全方向に自然が見える立地を最大限に活用し、
どの窓も周囲の住宅の目線を避けて室内から美しい景色を切り取れるよう丁寧に配置。
「フリースペースにクッションを置いて寝転がったときに、窓を見上げるとちょうど山だけが見えるんです。
紅葉するはずなので、秋が来るのが楽しみです」と旦那さんは嬉しそうに語ります。

窓からの採光にも設計スタッフのこだわりが詰まっています。
「一日中家にいるときに、いろいろな光の入り方をすることに気づいて、面白いなと思いました」と奥さん。
「朝は洗面所の窓から光が入って、気持ち良く1日を始められます」
ご夫婦のいちばんのお気に入りは、光が美しいラインを描く寝室の窓。
「建築中は工事スタッフの川辺さんや花牟禮さんが現場の進捗メールを定期的に送ってくれていて、
その中で『寝室からの光がきれいですよ』と教えてもらったことがありました。
住み始めてみたら本当にきれいで感動しました」

この寝室の窓は、ご夫婦が夜勤もしていることを考慮し、
「昼間でも光が入りすぎないよう大きな窓にはせず、それでも室内が窮屈に感じさせない」という発想から、
壁の高い位置に細長く配置。
角でつながった壁2面にわたるスリット窓から空が覗き、窓のサイズ以上の開放感につながっています。

一方で夜には「土間のライトで観葉植物のいい影ができます」と旦那さん。
そのほか吹き抜けの側面にライトを組み込むなど設計スタッフの提案による間接照明で、1日中光を楽しめる家になりました。

配色や素材まで細部にこだわる

この家のベースカラーは、ご夫婦ともに好きなグレーをセレクト。
壁紙も一見、白に見えますが、実際には薄いグレーで「完全に白にするより落ち着いた雰囲気になりました」と設計スタッフ。
一面だけアクセントとして変えている寝室の壁も「まったく違う色にするのではなく、
同じグレーの濃淡にすることで統一感を持たせています」。

木とのコントラストが強くなりすぎず空間に良く馴染むのもグレーの壁紙のメリット。
柱や梁の道産カラマツ材、床に使った下川町のナラ材などの色とも自然に調和しています。
「北海道が好きなので、道産・地元の素材を使えるのは嬉しかったし、三五さんにお願いして良かったと感じました」と旦那さん。

この家では、床と壁の間をつなぐ巾木も無垢材のものを採用。
目立たないところではありますが、このような細部が重なって全体の印象を左右します。
旦那さんは、美観に関する設計スタッフの細かな配慮にも着目し、
「上がり框の板の薄さとか、ほとんど出っ張らせない具合とかも良いです」と話してくれました。
木材以外も、ポストの受け口の上に取り付けてある小さな棚板は特別に札幌軟石でつくるなど、
細かいところまで素材にこだわっています。

見せる部分と見せない部分を意識したキッチン

キッチンも使い勝手とご夫婦の好みに合わせて作り込んでいます。
例えば壁タイルは、設計スタッフが数百種類の中から合いそうなものを絞り込み、数十種類の中からご夫婦がセレクト。
奥のカップボードは、「シンクと高さを合わせたい」「奥行きがあるスチームオーブンレンジも置けるようにしたい」
「色合いを合わせたい」といったさまざまな条件に合わせた造作に。
「コーヒーグッズを並べたい」とのご要望に応じて造作した飾り棚も含め、
「寺西さんのおかげでぴったりのサイズになりました」と、奥さんも納得の仕上がり。
キッチンを設計するにあたっては、玄関・土間からリビングを通して見える間取りであることを考慮しています。
奥の飾り棚を“見せる”つくりにする一方で、
シンクの手元はリビング側からは“見せない”ようにカウンターの高さを調整しているので、
急な来客の際でもあわてなくて済みます。
カウンター自体も、天板が出っ張らない仕様にするなど、
すっきりとした見た目になるようにさりげないところまでデザインしています。

薪ストーブを使いたくなる家

「寺西さんが私たちの好みを理解してくれていたので、ほとんど寺西さんのセンスにお任せにしていました」とご夫婦。
設計スタッフは、ご希望する部屋数が少なかったことや、家の中のスペースに比較的余裕があったことに加え、
ご夫婦が若いことを考慮し、「余白があるプランニングを心がけました」と話します。
例えば、好きなものを飾ったりできるよう、階段横のシューズクロークの上に渡した棚板や、
観葉植物を吊るしたりできる梁や前述のフリースペースなど、若いご夫婦に合わせて「余白」を持たせているおかげで、
これからライフステージが変化しても心地よく暮らせることでしょう。
もちろん、現状の暮らしについても「いごこちがいいし、静かだし、満足でしかないです」と奥さん。
「コーヒーを淹れて、美味しいものを食べたりしながら、のんびりしたくなる家になりました」

ご夫婦の念願だった薪ストーブも楽しみのひとつ。
4月に引っ越したときに待ちきれずすぐに使ってみたそうで、「暑かったけど、いい雰囲気でした」とご満悦。
「本格的に冬に使うのが楽しみです。焼き芋をつくってみたいし、
友達を呼んでピザパーティーをするのもいいですね」と言います。
ゆっくりしたいときも楽しみたいときも、ご夫婦の期待に応えてくれる家になりました。