趣味のための土間とワンルームのようなリビング&キッチン
おふたりとも医療関係のお仕事をされている20代のIさんご夫婦。
旦那さんのご実家を建てたのもリフォームしたのも三五工務店というご縁があり、二代にわたるお付き合いとなりました。
ご両親から「設計スタッフさんと直接、話ができるのがいい」とおすすめされたものの、Iさんご夫婦は当初、「専門家である設計スタッフとの打ち合わせ」に身構えていたそうです。
しかし「『こういう外観にしたい』と、ホームページで見つけた写真を見せたら、それが私たちの担当の寺西さんがつくった家だったり、寺西さんからリビングのファクトリーランプを提案されたときに、私もちょうど同じようなものを見せようと思っていたり」といった偶然が続き、「自分たちと感性が近い」と安心したとIさんご夫婦。
旦那さんと同じく設計スタッフもアウトドアが好きで、使う道具などの知識があったことが、スムーズな家づくりにつながりました。
「寺西さんは固定観念に捉われずにいろいろな提案をしてくれました。いつも説明が理にかなっていて興味深かったです」
ご夫婦にとって、お子さんの出産とも重なる大変な時期でしたが、「打ち合わせは毎回楽しかった」そうです。
土間・リビング・キッチンがつながるワンルームのような空間
Iさんのお家の最大の特徴は、土間から一体となった広々としたリビング・キッチン空間です。
旦那さんの趣味であるサーフィン、スノーボード、キャンプなどのアイテムを全部置ける広い土間をつくりたい。一方で、リビングのスペースも広くとりたい。
このふたつのご要望の間でバランスをとることが設計の課題でした。
まずは、1階の廊下に割くスペースを極力減らしつつ、階段下にテレビを置けるようにするなど空間を効率良く活用することでリビングの広さを確保。
体感的にも広くなるように、目線を遮るものを除き、天井上の配管をキッチン側に集中させてリビング側の天井を高くしています。
さらに、ふたりで一緒に料理をしていたIさんご夫婦にとって、キッチンの広さも大事。LDK一体型の間取りなので、リビングとスペースを共有できるようにキッチンを対面型にせず、コンロ・シンク・棚を全部壁側にレイアウトしました。
「マンション時代と違って、ふたりが立っても余裕があります」とご夫婦。
目隠しになるようなカウンターを設けずに調理器具などをオープンにした、住んでいるご家族の個性がそのまま表れる「見せるキッチン」になりました。
土間もご希望通りの広さを確保した上で、使い勝手を考えて細かく設計しています。
玄関から家の反対側まで土間でストレートにつなぎ、正面には庭とウッドデッキへ出られるテラスドア。
サーフボードをそこで乾かしたりもできます。
土間の壁側は収納スペースで、一部吹き抜けになっているので、長さ3mほどのロングボードも立てられます。
こうして土間・リビング・キッチンのすべてがご夫婦ともに納得できる空間になりました。
周囲の目を遮りながら、窓から暖かさと明るさを取り込む
暖かさや明るさももちろん大切です。
設計段階でIさんご夫婦は「玄関・土間とリビングとの間にドアがなくても寒くないのだろうか?」と気になったそうですが、「住んでみたら何の問題もありませんでした」。
家全体を包み込むように断熱・気密を行い、家中が均一に暖かくなるようにするのが三五工務店の家づくりの基本。標準仕様である高断熱の玄関ドアや土間の床暖で、玄関スペースもしっかりと暖まります。
太陽の熱を窓から効率良く取り込むことも三五工務店の住宅のポイントのひとつ。
「庇を長めにすることで、季節ごとに太陽の光をうまく調整できるというお話が印象的でした」と奥さん。
Iさんのお家は、太陽が高い位置を通る夏には日差しが庇で遮られ、太陽が低い位置を通る冬には陽が奥まで差し込むようになっています。
太陽の熱を利用する上ではトリプルガラスを使っていないことも重要です。
特に南向きの窓を断熱性が高いトリプルガラスにしてしまうと、熱が外へ逃げにくくなる代わりに、太陽の熱を取り込みにくくなってしまいます。
建築コストも高くなるため、三五工務店では外壁や天井などトータルで断熱性を高めて省エネを目指すことをおすすめしています。
窓に関しては当然ながら、室内の明るさにも影響します。
住宅街の1階リビングの場合、プライバシーとの兼ね合いで大きな窓にしづらいことが大半。
そのため、Iさんのお家では「外を見るため」ではなく「光を落とすため」という発想で、階段に沿った吹き抜けを通して2階の窓からリビングへ光を取り込むようにしています。
ご夫婦はこの窓についても設計段階でうまくイメージできなかったそうですが、「上から降りてくる光で思った以上に明るかったです」。
人間が生理的に落ち着ける照明計画
「マンションの頃は全体が白く明るいのが苦手でした」という旦那さんにとって、照明計画も重要なポイントでした。
この家では家中を均一に明るくするのではなく、場所ごとに明るさを変え、さらには時間や過ごし方によって照明を使い分けられるようにしています。
例えば寝室の照明は、寝ていても目線に入らない低い位置のベッドサイドランプと、出入り口の足元を照らすダウンライトだけ。
明るさが必要最小限なのが「とても落ち着きます」とご夫婦。
またリビングのテレビの上に取り付けたライトについて旦那さんは「設計の時点では、必要だろうか?と半信半疑でしたが、暮らし始めてみたらとても良かったです。
映画を観るときにこのライトだけ点けると、映画館のような独特なムードになります」。
そのほかもリビング・キッチン・土間のライトはそれぞれ場所ごとにオンオフできるようにしてあるので、1日の中で変化をつけながら過ごしているそうです。
明暗がある方が落ち着くのは、均質に明るい場所がない自然環境の中で進化した人間の本能なのかもしれません。
木材の使い分けで、ラフすぎずシャープすぎない家に
木をはじめとする素材をどのように使うかで、住宅のイメージは大きく変わります。
「最初から木を使った家が良いと思っていたのですが、ログハウスまでいくとラフすぎるし寒そう。
でも、ほかの工務店のモデルハウスで見たきれいすぎる木の床も嫌で…」という旦那さんの話を伺い、この家は「ラフな素材でもシャープなデザイン」を目指して設計されました。
例えば、サーフボードを立てたりフックを付けたりする土間の壁には、節が多くてアウトドアな印象が強い針葉樹の材を使用する一方で、シューズボックスはグレーに塗られたシンプルな扉付きにしています。
キッチンのカップボードも同じように、引き出しを針葉樹の材にする代わりに、天板をグレーにしました。
アクセントとなる一部の壁や階段手すりのアイアンのパーツもグレーに統一。
「テーマカラーが決まったら家具を選びやすくなりました。もともと土間に置くと決めていたスチールラックもうまく馴染んでいます」とご夫婦。
「子どもが生まれたときに買ったチェアもグレーで、自分がグレーが好きだったことに気づました」
ちなみに家の外観にもグレー系統の2種類の鋼板を使っています。
外壁のベースとなる道南スギ材と合わせて3色が重なるこのデザインは、さまざまな家が並ぶ周囲の環境に馴染むよう配慮したものです。
ライフスタイルが変わっても快適に
2階にはご夫婦の寝室と子ども部屋。
ご夫婦はマンション時代、おふたりとも医療関係のお仕事をされている関係で「どちらかが夜勤に出かけるとき、その用意でパートナーを起こしてしまう」というお悩みがあったそうです。
このお悩み解消のため、クローゼットは寝室内ではなく2階の廊下に配置することになりました。
その上で、「いつも2階のクローゼットまで服を取りに行くのが面倒になるかもしれない」という設計スタッフの懸念から、1階リビング横の洗面室に、普段よく着るものを掛けておけるスペースを用意してあります。隣の脱衣室に洗濯機があるので、物干しにも使えて便利です。
2階の廊下にはカウンターもあります。
このカウンターは「自分たちが子どものころ、自分の部屋では勉強しなかった」というご夫婦の思い出から生まれました。
今後はお子さんとご夫婦が横並びでお絵かきをしたり、ご夫婦が仕事をしたり、カフェのようにゆっくりしたりと、いろいろなことに使うことができます。
子ども部屋は広めにスペースをとった10.5畳。
真ん中に壁をつくれば2つの部屋になるよう、出入り口・窓・照明・コンセントをそれぞれに配置してあります。
このように間取りを変えられる2階と、ほとんど壁がなく生活動線も家具の配置も自由度が高い1階。
趣味の家でありながら、住みやすさについても十分に考えられたこの家は、家族構成やライフスタイルが変化しても柔軟に受けとめてくれることでしょう。