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暮らしのレポート

これまでの暮らしを引き継ぎながら山の風景と薪ストーブも楽しめる2階リビング

これまでの暮らしを引き継ぎながら山の風景と薪ストーブも楽しめる2階リビング

50代共働きのYさんご夫婦は、お二人とも札幌へ転勤になったことやお子さんたちの独立、代々受け継ぐ土地にいつか住みたいと思っていたことなどが重なったことをきっかけに、新しい住まいを建てることに決めました。

三五工務店については、旦那さんが以前勤めていた学校の職業体験を通して交流があり、「良心的な社員さんたちが集まった夢のある会社だと感じて、いつか家の相談をするなら三五さんにと思っていました」と旦那さん。
「実際に相談してみたら、木材へのこだわりに好感が持てたし、初回打ち合わせの丁寧な対応に安心感がありました」とのことで三五工務店との家づくりが始まりました。

必要なものを先回りしてご提案する家づくり

前のご自宅に19年間住まわれたYさんご家族。
「何の不満もありませんでした」と言うほどのお気に入りだったため、新居を建てると決まったとき、設計スタッフはまずそのご自宅を見学させてもらいに行きました。
「設計スタッフの蝶野さんは当時の家の雰囲気を見て、その場で私たちの好きなものを理解してくれました。
暮らし方や家に対する想いを汲み取ってくれたので、新居については細かく伝えなくても希望以上の提案をしてくれました」と奥さん。
例えば、設計スタッフがある照明を紹介したら、奥さんも「同じものが良いと思っていました」と意見が一致するほど、イメージを共有できていたようです。

以前の暮らしを自然に取り込み、新居でも活かすことは、設計スタッフが大切にしたポイントのひとつでした。
リビング・ダイニングの間取りは、以前のご自宅から家具を持ってくることを前提に設計。
奥さんのお気に入りの絵や旅行先で買ってきたおみやげについても、「蝶野さんに具体的に要望したわけではなかったのですが、前の家に飾っていたものが全部きれいに飾れるようになっていて嬉しかったです」とのこと。

また、設計スタッフの提案で、日当たりの良いリビングのベランダ側に、フローリングよりも鉢植えを置くのに適した札幌軟石を敷いたスペースを設け、「観葉植物はほぼ全部もってこれました」と喜んでいただけました。
さらに庭木も設計スタッフとアシスタントが自ら運び、植え直しました。
大きすぎる木以外は一緒に引っ越せたので、できたばかりの新居の庭ながら、住み慣れた住まいの雰囲気も引き継いでいます。

もちろん以前の形をただ引き継ぐだけではなく、ご家族のライフスタイルを考えて、特別なご要望がないところまで先回りして細かく設計しています。
設計スタッフによれば、「旦那さんのお母様が頻繁にいらっしゃることも考えて、階段は標準仕様よりも上りやすく調整しました」。
設計から施工まで自社でおこなう一貫体制と、大工の高い技術力があるからこそ、階段の幅と高さのバランスといった細かいところまで丁寧に仕上げていくことが可能になっています。

天然素材を活かした住空間

以前のご自宅も天然素材を多く使っており、年々良い風合いになっていくのを見ていたからこそ、新たな家でも素材にこだわりたいというのがご夫婦のご希望でした。
木へのこだわりが三五工務店に相談した理由のひとつですが、ご夫婦には気になることもあったそうです。
「三五さんの施工例を見ていると、色の濃い木材を多く使っている印象でしたが、私たちが当時住んでいた家は白っぽい木を使っていて、少しイメージが違っていたんです」
設計スタッフは、ご夫婦の好みをイメージしつつ、以前のご自宅から持ち込むことになっているダイニングテーブルの雰囲気と合うよう意識しながら、白めで木目が強く出ていないシナ材を天井、建具等としてご提案しました。
「三五工務店で普段扱っていない木でしたが、標準の仕様にこだわらず、施主様にとって最良の暮らしを実現することが何よりも大切」というのが設計スタッフの、そして三五工務店の考え方。
最終的には、梁や柱にはカラマツなどの濃い色合いの木を織り交ぜることで、単調になりすぎないメリハリのある空間に。
「前の家から持ち込んだテーブルともなじんでいて、とても気に入っています」と奥さんも納得の仕上がりになりました。

さらに壁については、「ビニールクロスの壁紙にはしたくないと最初から思っていたのですが、再生紙の壁紙は質感が良いものの予算と合わなくて……」とお悩みでした。
そこで設計スタッフがご提案したのは珪藻土の塗り壁。
質感の良さに加えて、室内の湿気や匂いを吸ってくれて「空気感が変わる」機能性もあり、いごこちのよさにつながりました。

中からは見えて、外からは見られない工夫

新居は藻岩山を見通せる好立地。
ご夫婦と設計スタッフとで「山が見える家になったらすごくいい」と意見が一致しました。
周囲に背の高いマンションもある住宅街のため、外からの視線を遮りつつ、見晴らしを確保できるように、リビングは2階に設けることに決定。
その上で設計スタッフが懸念したのは、1階リビングで吹き抜けになっていた以前のご自宅と比べて、通常の2階リビングだと狭く感じるかもしれないということ。
そのため、新居のリビングの天井も高くした上、天井近くにも窓を設け、開放感のあるスペースにしています。
山の風景が広がるようにリビングには大きな窓を設けつつ、周囲からの視線をカットできるように、窓面の向きを斜めに。
さらに外の歩行者からの視線も遮れて、室内からの眺望の邪魔にもならないように、ベランダの柵の高さを調整。
その結果、誰の目も気にならず、「ソファに座ったらちょうどロープウェイまで見えるんです」という、見晴らし抜群のリビングになりました。

そのほかの窓についても「立つ位置や座る場所、見る向きで、リビングから色々な景色が見えるようにしました」と設計スタッフ。
例えば、リビングの横の窓からは、別の山々や市電、春には満開の桜が見えます。
また、キッチンスペースの棚越しに見える、階段の吹き抜け上部の窓は、道路の向かい側の木々を借景に。
ご家族が夜に帰ってくるときには、この窓越しに、奥さんが好きで集めていたペンダントライトの明かりが優しく迎えてくれます。
人目が多い市電通り側の窓ですが、室内を見られない位置に配置して、明るさや開放感を確保。
ここから差し込む光のおかげで塗り壁に自然な陰影ができ、玄関とリビングをつなぐ階段はやわらかな空間になりました。
奥さんは「引っ越してくる前は、市電の音が気になるかもしれないと思っていたのですが、住み始めてみたらむしろ心地いい」と感じているそうで、周囲の環境とうまく溶け込む住まいになりました。

物がいっぱいあっても、すっきりした室内

前のご自宅から引っ越してくる上で、「物は多いけど、すっきりさせたい」ということもご家族のご要望でした。
広い収納スペースに、物だけではなく、思い出の家具まで仕舞い込めるというのがこの家のユニークな発想。
寝室のウォークインクローゼットは、前のご自宅のタンスを入れる前提で広さを確保。
キッチンの食品庫は、以前から使っている2つの食器棚をそのまま庫内に配置して棚代わりにつかっています。
リビング・キッチンを2階にするにあたり、「食品をこまめに運ぶのは面倒ではないか」という設計スタッフの配慮もあって、キッチンの食品庫は大きめに。
この食品庫は奥さんによると「とても便利です。大きいことも助かるし、思った以上に保冷できています」。
三五工務店では家全体を高気密・高断熱仕様にしており、季節を問わず均一に暖かいのが特徴。
そのためご希望に応じて、外気を取り込み自然に冷える食品庫を設置しています。

食品以外の家電や調理器具も、見せたいものはきれいに並べられて、見せたくないものは仕舞い込めるように。
前の家から運び込むものを想定した上で「見せるための棚」と「仕舞い込むためのカップボード」を造作しています。
シンクには、洗剤を組み込めるものを設計スタッフからご提案し、必要最小限のすっきりとしたキッチンになりました。

リビングの横には奥さんのための書庫があります。
「本が多いので専用の棚をつくってほしいというだけの要望だったですが、結果、書庫と書斎が一緒になったようなスペースになり、こうなったんだと驚きました。
立派だし、とても気に入っています」と奥さん。
この書庫には、息子さんが子どもの頃に使っていた勉強机や前のご自宅では使う機会がなかったペンダントライトも設置でき、好きなものや懐かしいものに囲まれながら過ごせる場所になりました。

一方で旦那さんの趣味はウィンタースポーツやマラソン。
靴とウェアとを分けて置いておけるように、玄関を挟んで左右にそれぞれ玄関収納をつくりました。
さらには濡れたウェアで極力室内を汚さずに済むように、ウッドデッキから脱衣室へ入れる間取りにしています。

家全体を通して「想像していた以上に収納スペースをつくってもらえました」とご家族も納得。
新居ではご家族の行動も少し変化し、「1階に玄関収納や自室があるので、外で着ていたものなどを1階に置いてくるし、1階にあるものを2階に持ち込んだりもあまりしないので、2階のリビングが自然と片付くようになりました」というメリットもあったそうです。

ゆっくりと過ごすことを楽しめる家

景色が良いこのお家では「リビングから四季折々の風景を楽しめるし、紅葉もきっときれいだと思います。
今後はベランダで過ごす時間も増えそうです」と、家でゆっくりすること自体が楽しみになっています。
リビングには隣接した和室もあるので「よく泊まりに来る母ものんびりできます」とのこと。
庭については引越し後に春を待ってやっと出来上がったところですが、
「子ども連れで来る人がいたらここで遊ばせたりできそうだし、職場の仲間たちも気軽に呼べます。
ここでバーベキューをするのもいいですね」と想像が広がります。

新居では、新たに置くことにした薪ストーブもご家族のお気に入り。
ご夫婦は薪ストーブに憧れがありつつも、設計段階で「扱うのが大変なのでは」と迷ったそうですが、「入れるなら今しかない」と決めました。
実際に使ってみると「時間をかけて火をつけたりすることで、贅沢な時間が流れているのを感じます。
次の冬が来るのが待ち遠しいです」と満足されているご様子。

お子さんの独立を経て、まだまだ先ではありますがご夫婦の引退後まで見据えてつくったこの家での生活は、趣味をもっと楽しめて、時間のゆとりを満喫できるものになりそうです。