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暮らしのレポート

三五社員の現場監督ならではの木へのこだわりと理想を追求した住まい

三五社員の現場監督ならではの木へのこだわりと理想を追求した住まい

三五工務店で現場監督を務めるスタッフSが社内の設計スタッフにプランニングを依頼し、
自ら施工管理をした自分と家族のための家。
子どもの誕生をきっかけに家づくりを考え始め、土地探し・プランニングから施工まで約2年。
じっくりと時間をかけて進めながら、「せっかくの自分で監督するので…」と、
三五工務店の標準とは異なる仕様にも挑戦し、現場で培った経験や感性、
そして木へのこだわりが詰まった家になりました。

楽しみながら理想の家をつくる

施工管理は「自分で思う存分やってみたかった」と自らが担当し、
設計には「楽しく家づくりをしたいと思い、経験豊富でにぎやかな蝶野さんにお願いしました」と蝶野を指名。
まずはご夫婦で間取りをつくるところから始まりました。
「ふたりでプランを考えていったのですが、必要な要素がうまく収まらず、
しっくりこないまま蝶野さんと打ち合わせをしました。
蝶野さんはすぐに私たちのイメージを汲み取ってくれて、
夫婦で悩んでいた間取りの問題が翌日には解消し、さすがプロだなと思いました」

特にうまく収まらなかったキッチンも、カウンターの向きを変えるなどの調整で、
「いつかふたりで料理ができたらいいね」というくらい余裕のあるスペースになりました。
さらに、奥さんの意見を取り入れながら冷蔵庫やコンロの位置を変更し、家族にとって一番使い勝手の良い形に。

基本プランは蝶野の手を借りてほぼ決まり。
後は細かい仕様や収まりの調整など、本人独自の追求が始まりました。
その中でも大きく手を加えたのは、2階のベランダ。
そもそもこの家の敷地を選んだ決め手は、南側にガレージと平家しかなくて日当たりが良いことや、
その先の防風林まで見通せることでした。
このメリットを最大限に生かすため、2階のフリースペースから外へ出るための掃き出し窓とベランダを追加し、
気持ちの良い場所が出来上がりました。

大切なのは“きづかい”

Sはもともと旭川の家具メーカーに勤めていたほどの木工好き。
家具づくりからさらに暮らしづくりにまで目を向けるようになり、
道産木材にこだわって家づくりをしている三五工務店に入ったという経緯があります。
そのため「自宅には木をたくさん使いたい」と考えるのは当然のこと。
フローリングにナラ、構造材は道産カラマツ、外壁や軒天は自然塗料を塗った道南スギといった
三五工務店の標準仕様のほかにもさまざまな木を使っており、
完成時に訪れた三五工務店の社員が「まるで木の博物館」と評したほど。

この家をつくるにあたっては、Sの造語「きづかい」がキーワードでした。
木を使って、いごこちのよい空間にするため気遣いをするという意味です。
通常は天井用クロスを使用するところに羽目板を貼ったり、
良い香りに包まれて眠れるように寝室の壁を一面だけ道南スギにしたり、
テレビカウンターを道南スギの一枚板にするといったことは「きづかい」の一例であり、こだわりの表れです。

また家づくりを考え始めた頃、奥さんが参考としてインターネットで施工写真を見て、
気に入ったものを集めていたところ、Sが気付いた共通点が「木製のサッシ」でした。
奥さん自身が無意識だったポイントを探り当てられたのは、家づくりのプロならではの目線と経験値のたまもの。
木製のサッシは実際にリビングに採用され、夫婦のいちばんのお気に入りになりました。

ウッドデッキまで広がるリビング

家のメインとなるリビングは、吹き抜けでつながる2階フリースペースとともに、
セオリーどおり、採光の面で良い南側の場所を占めています。
その上でさらにリビングのコンセプトは「庭まで室内に取り込むこと」。
リビングはキッチン・予備室とひとつながりで、庭を囲むように軽いL字型になっています。
庭と面したところはすべて掃き出し窓になっており、床面がほぼフラットな状態でそのままウッドデッキへ。
窓の外まで広がりが感じられるリビングになりました。
庭で焼肉をするスペースを確保するため、ウッドデッキは初期のプランより少し狭くしたそうですが、
お子さんが遊んだり、腰掛けてお昼ご飯を食べたりするには十分な広さを確保しています。
「この家で暮らすようになってから、子どもを公園に連れて行かなくも庭で十分遊べるようになりました」と奥さん。
今後「庭用のテーブルを作ったり、日よけのタープを張ったりする予定」で、
夏の日差しを気にせず水遊びをしたりと、お子さんの庭遊びの幅も広がりそうです。

庭先の庇はSや蝶野の意向で少し長めに。
そのおかげで夏の強い日差しがリビングに入りすぎるのを防げるとともに、
冬に庇から落ちた雪が窓ガラスに当たるのを避けることにもつながっており、
北海道で家づくりを続けてきたノウハウがさりげなく活かされています。

優先順位を明確にした間取り

家全体を見ると、1階にLDKと水回り、
2階に夫婦の寝室と子ども部屋とフリースペースというスタンダードなプランになっています。
「寝室については眠るだけの場所と割り切って面積を最小限にする代わりに、
家族が普段過ごすLDKやフリースペースを可能な限り広くすることが、
生活を豊かにしてくれると思っています」というのがSの考え方。
それに加えて「共有空間をひとつながりにしたかったので、間仕切りを極力なくしています」というこだわりも。
個室や浴室・トイレ以外は仕切りのない開放的なつくりで、柱も必要最低限にしており、
実際の面積以上に広く感じられる生活空間が生まれました。
脱衣室も当初はドアがないつくりにする予定でしたが、最終的に奥さんの意見を反映してL字型の引き戸を採用。
使うとき以外は開けておくことができる、プライバシーと開放感が両立したスペースになりました。

これからの楽しみが広がる余白

2階のフリースペースは、家での時間を楽しむための場所としてつくられました。
インテリアも含めて出来上がるのはこれからですが、構想しているのはラウンジのような場所。
この未完成のスペースに今後は観葉植物やソファを置いて、
階段横にある造作の大きな本棚からお気に入りの一冊を手に取り、ゆっくりと過ごしたい。
天気の良い日には見通しの良いベランダでコーヒーを片手にのんびりしたい、など夢が広がっています。

また、リビングと一体となった予備室スペースは、
今はお子さんがおもちゃで遊ぶ場所ですが、「私たちが歳をとったらここで寝るのも良いと思います」と奥さん。
子ども部屋になる予定の2階の部屋は2つに分割できるつくりになっているので、
家族が増えたり、別の用途でひと部屋ほしくなったりしたときにも対応できます。

建物自体が出来たことで完成ではなく、ライフスタイルが定まっていく中で少しずつインテリアが整えられ、
その時々の理想的な形になっていくことでしょう。
家づくりやものづくりが好きだからこそ、実現したいことがたくさんあり、
これからの暮らしが楽しみな住まい。それこそが新居を持つことの喜びなのかもしれません。