三五工務店×大雪木工 対談企画①
三五工務店×大雪木工 対談企画①
北海道の木は、いかにしてmorinosへと生まれ変わったのか。
三五工務店が送り出したオリジナルの椅子「morinos」。
その製造を担ってくださるのは、東川町にある家具メーカー大雪木工さんです。
北海道で育った木々が、どのような想いや考え、技術を経て、椅子へと姿を変えていったのか。
企画・デザインを担った三五工務店の関根と、
大雪木工で製造管理を担当された藤田さんが、この一脚の生まれた背景を語り合いました。
その時の様子を3回にわけてお届けします。
第1回 工務店が椅子を作る理由。
関根
協業のスタートは、私たち三五工務店が大雪木工さんに声をかけさせてもらったところからですね。
2019年ごろのことでしょうか。
藤田
「道産材を使ったOEMができるだろうか?」という問い合わせを電話でいただいたこと、覚えています。
ちょうどそのタイミングで、うちの社長が札幌に出張中だったので、
その足ですぐに御社のカフェ35stockを訪問したと聞いています。
「カフェもやっている、おしゃれな工務店さんなんだなぁ」と思ったそうですよ。
関根
そもそも、うちのような工務店がなぜ家具を作ろうと思ったかというと…。
三五工務店は、もともと暮らしづくりをトータルで提案したいという思いを持っていました。
私が入社する2017年の時点から、家具ブランドを立ち上げる構想が社内にあったんですよね。
それから3、4年経ってから、じゃあそろそろ家具をやってみようかという話が社長の田中から出てきました。
藤田
構想期間が結構あったんですね。
関根
そうなんです。
三五工務店は、北海道産の材料にこだわった家づくりをしているので、家具も道産木材でやりたいよね、と。
じゃあ、どこのメーカーさんだったら、私たちのような工務店が考えた家具を作ってくれるんだろう?
ということでパートナーを探し始めました。
いくつか候補はあったのですが、どうもしっくりこない。
その時、田中から「大雪木工さんじゃない?」と提案があったんです。
いまだに何を根拠に言っていたのかわからないのですが…(笑)。
おそらく御社と家具デザイナー小泉誠さんとのプロジェクトも見ていて、ピンときたんじゃないかな。
うちから声をかけられて、戸惑いとかなかったですか…?
藤田
いやいや、なかったですね。
大雪木工も変革期といいますか、タンスやサイドボードなどのいわゆる
「箱物」をずっとメインでやってきたんですが、生活様式の変化もあって、
商品の動きが悪くなってきていました。
であれば、売れないものをいっぱい作るより、
チェアやテーブルなどの「足もの」という可能性のある分野にもっと参入していきたい。
そう考えていた時期だったんです。
なので、三五工務店さんの力を借りて、今までうちがやれてなかった部分が
形にできるんじゃないかっていう期待がありましたね。
是非お願いしたい!という感じでした。
関根
三五工務店もまさに変革期。
社長が変わって、考え方も少し変わってきたタイミングでしたね。
藤田
そのあたりが似ていたのかもしれませんね。
では、morinosをどうデザインされていったのか、そのプロセスを教えてもらえますか?
関根
まず「工務店が作るべき椅子とは?」「三五工務店らしい椅子とは?」を考えるのが難しかったですね。
家具メーカーが作る椅子とも、またちょっと意味が違うでしょうし。
当社が建てる家のイメージは既にあるので、そこに置くのにふさわしい椅子をイメージし続けました。
正直、今も正解にたどり着けたのかはわからないです。
ただ、確かに言えるのは、森で育った木で建てる家と同じように、
森の造形を椅子に取り入れることに注力しました。
藤田
初めてスケッチを拝見した時に思ったのは、「これならなんとか形にできるな」と。
ただ、「ここはこう変わるだろうな」とか、「こうなっていくだろうな」と後々の展開を見越して、
工場スタッフと事前に擦り合わせていました。
というのも、私たちの工場のスキルを上げておかないと製品化までたどり着けないと思ったんです。
機械的な設備が足りないのなら、それをどう補って、強度をいかに実現するのか、とか。
関根
社内的な取り組みを考えていくのが藤田さんの役目だったと。
藤田
ええ。
通常、私たちが椅子を作るとなると、一人の職人で1から10に近いところまで完結させることがほとんど。
でも、今回は量産が前提だったので、分業しながら数を作れる体制を敷こうと模索しましたね。